ホーム > アセスメントプログラム
一言で言えば、「対象とする人物(アセッシー)の今後の職務適性を、シミュレーション演習による疑似体験を通して、客観的に事前評価すること」です。
観察・評価者はアセッサーと称する行動科学の専門家であり、評価対象とする職務と必要スキルに適合した評価要素(ディメンション)と複数のシミュレーション演習課題(ケース)を顧客サイドと協議の上、事前に設計します。演習は、2日程度の研修スタイルで行われ、複数のアセッサーが個々の参加者(アセッシー)の言動、演習成果を、行動科学の手法により、多面的に観察・評価します。従って、誤解の多いところですが、アセスメントは人の総合的な人格や性格の評価ではなく、対象者が演習中に示した行動に基づく職務適性の評価です。
後述するように、アセスメントとしては、管理職を選抜するための「マネジメントアセスメント」が最も多く行われていますが、他に営業スキルを対象とした営業職アセスメントや特定の専門職を対象としたアセスメントも行われるようになっています。また、弊社では、新たに開発した「新卒採用アセスメント」にも実績があります。
なお、「評価」のみを狙いとしたS(selection)型と「評価+能力開発」を狙いとしたD(development)型があり、D型は、ビデオフィードバック等も含め、参加者自身の気づき、納得感を得ながら演習を進める形となっています。
「社内の人事考課をしっかり行えば、何もアセスメントなど必要ないのではないか?」と率直に言われる方にも時々お会いします。たしかに、私(菊池)のような団塊の世代が育ったかつての高度経済成長の時代までは、必ずしもアセスメントはmust要件ではなかったでしょう。かつては、事業は量的には拡大しても、質的には同一ビジネスの延長線上にあり、同期入社者の大部分がほぼ歩調をそろえて係長になり、課長になるといったキャリアプランが描けました。こうした時代には、過去の実績評価で、適切な人材を選抜できる確率も高かったと言えます。ところが現在のように、ビジネスモデル自体が年々変化し、仕事の進め方も大きく変わる時代にあっては、係長や担当者として優れた実績を残した人材が管理職に昇格しても優れているとは限りません。単年度の実績評価を積み上げる人事考課に依存するだけでは、選抜を誤る確率が増しており、本人にとっても会社全体にとっても不幸な事態を招きかねないのです。
そこに、将来の職務に求められる要件をシミュレーションした演習を通して、本人の職務適性を事前評価するアセスメントが採用される理由があります。換言すれば、人事考課の本質は過去の結果の評価であるのに対して、アセスメントは将来の事前評価です。もちろん実績評価も大切であり、多くの企業は、実績評価とアセスメント評価とをミックスし て総合的に管理職を選抜する方式を採用しつつあります。さらに、アセスメントのもう一つの特徴は、社外のアセッサーと称する人材評価の専門家による多面評価という点です。アセッサーは様々な企業の対象者を多数評価しており、外部の視点による客観性と「市場価値の観点からの評価」が得られます。また、単なる評価の機会とするだけでなく、対象者の強み・弱みを評価要素(ディメンション)ごとに把握し、「本人の適性把握と能力開発の機会」としても効果的に活用できます。以上の側面が、アセスメントの今日的な必要性の背景になっていると言えます。